整理収納アドバイザー ポレポレ日記

40代 おじさん整理収納アドバイザー

モノから触れることの出来る証や物語

読書が好きな僕。常に文庫本を持ち歩き、少しでも時間があったら読んでいます。

電車やバスに乗っている時間、誰かとの待ち合わせの時間などなど、なんてことのない時間も読書をしていると退屈することはありません。

長く感じる時間も、読書をしているとすぐに時間が経ち、有意義に過ごすことが出来ると思っています。

読むジャンルは様々で、ミステリー小説から自己啓発系、恋愛小説なんてのも読んだりするときもあります。重い内容の物から、肩の力を抜いて読むことが出来る内容の物まで割と幅広く読んでいるように思います。

その時の自分の状態やテンションによっても多少変わりますが、基本肩の力を抜いて読める本を選ぶことが多いように思っています。本屋さんに行っても無意識にそういった本を探している自分がいます。

肩の力を抜いて楽しく生きていきたいと思っている僕であるため、そういった本を無意識に選ぼうとしているのだと思います。

そして、何事に対しても影響を受けやすい僕は、良い本と出会った後は必ずその本の世界にどっぷり浸かってしまい、実生活と結び付けて考えることが多いように思います。

最近読んで「いいなぁ~。」と思った本が、

垣谷美雨著 「姑の遺品整理は、迷惑です」

垣谷さんの書く作品は正に僕好みの内容が多く、肩の力を抜きながら楽しく読むことが出来る内容の物が多いです。

ただ楽しく読めるだけでなく、深く考えさせられたり、感動して涙を流してしまったり、しっかり自分の生活を見つめ直すきっかけを与えてくれる作品が多いように思います。

今回読んだ作品も読み終えた後にたくさんの気づきや、考えるきっかけを僕に与えてくれた作品でした。

突然亡くなった姑の遺品整理を行うことになった主人公。業者に依頼することも考えますが、経済的な事情から自力で遺品整理を行うことを決断し、遺品整理を通して知らなかった姑の顔が見えて来るといった内容です。

多くの人がいつかは直面することであり、多くの人が避けることの出来ないことをテーマにしているこの作品。この物語を読んだことで、そこに向けての心構えや心の準備ができたように思っています。

僕は常に「整理・収納」を意識して生活しています。それは自分が「整理・収納アドバイザー」だからという理由だけでしている訳だけではなく、毎日を心地良く暮らすためには大切にすべきことだと思っているからしていることです。

だから所有しているモノも少ないように思っています。

もし今日僕が亡くなってしまっても、僕の部屋の遺品整理は恐らく1日もあれば終わるのではないかと思っています。それくらいの量しか所有していません。

遺品整理の観点から見れば優秀な部類に入る方だと思っています。

ただ、その遺品から僕を感じることが出来るのかというと、ほぼ何も感じることは出来ないのではないかと思ったりもします。恐らく何も感じることなく整理することが出来るのではないかと思います。無機質な感じだと思います。

40歳の僕がこんなことを考えるのは早すぎるのかもしれませんが、人はいつかは亡くなる生き物です。誰もが避けることが出来ない事です。

登場人物の姑はたくさんのモノを買い溜め、それを残して亡くなってしまいました。モノの多さに絶望感を抱いてしまう主人公。しかし、残されたモノと触れていく中で、徐々に姑の思い出や関わってきたたくさんの人が見えてきます。姑の生きてきた証、物語を感じることになっていくのです。

残された人からすると遺品の整理は大変なことで、大きな迷惑になるコトだと思います。残す方の立場からすると、そういった残された人の事をしっかり考えるべきだと思います。

ただこの物語を読む前と読んだ後ではずいぶん考え方も変わったように思っています。

僕の実家はいつ帰ってもモノで溢れかえっています。「整理・収納アドバイザー」の僕の実家としては考えられないくらいのモノが溢れかえっています。

先日の里帰りではティッシュのストックがあり得ないくらい多いことに気付きました。60歳を過ぎた両親二人暮らしにも関わらず、30箱以上はストックしているような感じでした。

そういったモノの整理は必要なのかもしれません。高齢者の両親二人がティッシュを30箱以上も必要とする訳はありません。

ただ、この本を読んでからは、そのストックしている背景にはもしかしたら何かあるのかもしれないとか考えるようになってきました。

恐らく何もないのだと思います。きっと景品か何かで貰ったモノが大量に溜まっているだけだと思います。

ただ、もしかしたらその30箱のティッシュには誰かとの物語が潜んでいるのかしれません。もしかしたらこれから物語を作っていくのかもしれません。

モノを溜め込むことでたくさんの問題がついてくると思います。心地良い生活が自分から離れたり、たくさんの人に迷惑を掛けたり...。

ただそのたくさんのモノから、その人の生き方に触れることは出来るのかもしれません。

僕は所有しているモノがとても少ないです。そんな僕が亡くなってしまった時に僕の生きてきた証や物語に触れたい人がいた時、何かを残せているのでしょうか。

恐らく、残ったモノからは何も感じることは出来ないと思います。

そう考えると、モノを残すことはそんなに悪いことでもないのかもしれないとか思ったりします。

物事には限度があります。何でもかんでもモノを溜め込んでいると、残された人にとっては大きな迷惑になるように思います。

ただ、その人の生きた証や物語に触れることが出来るようなモノであれば溜め込んでもいいのかもしれないと、「姑の遺品整理は、迷惑です」を読んで感じることが出来ました。

モノと人には深い繋がりがあります。それに気付かせてくれた作品だったように思います。読書の好きな方、これから読書をしようと思っている方、読んでみてはいかがでしょうか。