僕が働く職場にも例のグローブが届きました。
あるスターからの贈り物のグローブです。
全校児童を集め、盛大にお披露目のための集会を行ったり、
とりあえずは各クラス1日毎で回したり、
それなりに子どもたちは嬉しそうな顔をしているように思います。
がしかし、これからの活用の仕方に課題があるのではないかと僕は感じています。
子どもたちに自由に使わせるのか...。
体育などの授業で活用するのか...。
はたまた、世間で騒がれ叩かれている、展示をしておくのか...。
正直、どの活用方法でも様々な課題があるように思われます。
子どもたちに自由に使わせるとなったとしても、確実に不満を抱える子どもや保護者が現れるのではないかと思っています。
やれ「全然使えない...。」
やれ「自分が使おうと思っていたのに..。」
そして、そんな不満を聞いた偏った考えの、周りが全く見えていない保護者からは、
「うちの子が使えないと言っている。」
「不公平だ!!」
なんて不満の声が出てくるのが目に見えているように思います。
「それであれば予約表的なものを作ればいいのに。」や「何か方法を考えたらいいのでは?」なんて声も聞こえてくるように思います。
では仮に予約表的なものを作ったとして、管理するのは誰がするのでしょうか?
僕が働く職場には800名近い子どもたちがいます。
その子どもたちの中には、それなりにしっかりしている6年生もいますが、まだまだ小さな1年生もいます。
そんな年齢層の広い環境の中で、3つしかないグローブの予約を管理するのは、それなりに負担になるように思います。
予約したはずなのに忘れていた。
日にちを間違えていて他の子どもが使っていた。
体調不良で休んだ後、もう一度予約したら半年後になってしまった。
そしてそんな中では必ず訳のわからない事を言ってくる保護者が出てくるのです。
「予約していたのに声掛けもしてもらえなかった。」
「予約の確認はしてくれたのか。」
「半年後なんてバカげている。」
そういった訳のわからない事への対応は誰がするのでしょうか?
ただでさえ人手不足で、一人当たりの業務量が多いと言われている教育の現場。
そこに小さい仕事かもしれませんが、グローブの管理をする仕事が増えてしまうのです。
片手間で出来る仕事かもしれませんが、それは余裕のある場合であり、今の現場の状況を考えるとそんな余裕はないように思ったりもします。
また、体育の授業で使うとなったとしても、3つしかないグローブでどのように授業を組み立てるのでしょうか?
今の職場に他にグローブがあるのを僕は見た事がありません。
仮にあったとしても、全員が使える数が揃うのかというと難しいように思ったりもします。
僕が受け持つクラスの人数は、かなり多い方で43人います。
少なくても、一般的には30人くらいはいるように思います。
その人数分のグローブを揃えている学校が日本全国でどれくらいあるのか疑問に思ったりもします。
そしてその授業の中でも、プレゼントされたグローブを使える子もいれば、使えない子も出てくる状況になるのです。
そこでまたまた訳のわからない保護者が必ず登場してくるのです。
小学校の先生は体育だけを指導するだけでなく、ほとんどの教科を1人で指導します。
そんな中で、3つしかないグローブをどのように活用して授業を組み立てるのかを考える事は結構な負担になるように思います。
ひとりひとりが平等に使えるような授業の展開...更に、より教育的効果を上げる事が出来るような活用方法...。
僕は正直思いつかないし、それであれば本来体育でしなければならない事がある訳で、そちらに注力する方が、子どもたちにとってより成長出来る何かを行う事が出来るのではないかと思ってしまいます。
となってくると、展示しておくという考えも選択肢の1つになってくるのです。
世間では、「展示なんて舐めてるのか!!」みたいな事を言っている人が大勢いるようなのですが、僕はそれは教育現場の現状をよく分かっていない人が言っているのではないかと思います。
人手不足で一人当たりの業務量が多すぎる現状。
そこにきて訳の分からない事を言ってくる保護者が一定数いる。
そんな状況を分かっているのが疑問に思ってしまいます。
正直僕は野球に対してさほど興味はなく、プレゼントのグローブに対してもそこまでの思いは持っていません。
もちろん喜ばなければならない事だろうし、感謝の気持ちを持つべきだとも思います。
その気持ちが全くない訳ではないのですが、やはり学校を運営している側の人間としては、目に見えている課題を見ないふりは出来ないように思います。
これからどんな使い方をしたとしても、それなりに叩かれるだろうし、それなりの負担はのしかかるように思います。
そんなプレゼント、どんな気持ちで向き合えばいいのか...心の持ち用が難しいな〜なんて思ったりもしています。