僕が勤める小学校は明日が運動会です。
運動会に向けて、9月に入った辺りから練習を始め、その成果を明日発揮する事になっているのです。
色々な競技がありますが、その中でも最も練習に時間を割いてきたのが「団体演技」だと思います。
というか、ほとんどの小学校では運動会と言えば団体演技をメインにしているのではないかと思います。
良いか悪いかは別にして、今も昔もそんな感じではないかと思います。
団体演技...。
昔から組体操、ソーラン節などは多くあったのではないでしょうか。
組体操なんかは、安全性の観点から大分規模も縮小していますが、それでもまだまだ根強く残っており、我が校でも6年生は組体操を披露する事になっています。
僕が担任をしている5年生に関しては、ソーラン節を行う事になっており、約1か月の間、子どもも大人も一生懸命に取り組んできました。
担当をしてくれた同僚なんかは、夏休みの序盤から準備を始め、子どもたちにとって分かりやすい指導を徹底して行なってくれました。
そんな頑張ってくれた同僚には感謝の気持ちでいっぱいです。
一方僕はというと、決して何もしてこなかった訳ではなく、僕にもそれなりに責任のある役割があったのです。
最近のソーラン節を披露する際のトレンドで、軽くダンスをしてからメインのソーラン節に入るというのが多くあるパターンになっています。
法被を着て、少し民舞っぽく、ソーラン節っぽい要素を入れたダンスを軽く踊るパターンがトレンドになっているのです。
そのダンスを僕が考えるという事になっていたのでした。
メインのソーラン節の邪魔にならない、子どもたちの負担にならない程度のダンスを考えないといけなかったのです。
僕なりに夏休みの時間を使いながら、それなりに満足の出来るダンスを考える事が出来ていました。
「簡単に、楽しく取り組めるだろう...」
そんな事を考えていましたが、予想していない状況が待っていたのです。
それが...予想以上の猛暑が続いてしまったという状況です。
今年の9月は例年以上の猛暑が続いており、熱中症や脱水症状への対応を余儀なくされてしまったのでした。
当初考えていたよりも、練習時間が制限されるのは、十分に予想出来ます。
そういった状況の中で、そもそも何を大切にすべきなのかを考える機会をとる事になりました。
そもそも、5年生の演技のメインはソーラン節です。
最近のトレンドとはいえ、僕が考えたちょっとしたダンスは、あくまでもサブ的な位置付けのものであり、それを練習時間に詰め込んでしまう事により、そもそもメインにしようと考えていたソーラン節の練習に影響を与えてしまうのではないかと考えたのです。
であるならば、そもそも大切にしたいソーラン節の演技に集中して取り組める環境を整えるべきではないかと考えました。
僕が考えたダンスを入れる事により、ただでさえ少ない練習時間が減ってしまいます。
更に今年は猛暑の影響により、練習時間に制限がかかると予想できます。
実際、猛暑日に関しては、外での練習を回避して冷房器具の整った室内での練習に切り替えた日もあったくらいです。
そんな中、無理をしてソーラン節にプラスしてダンスを行うべきなのか...。
僕は、プラスして行うべきではないという考えです。
子どもたちにとって、本来大切にしてほしい事を大切に出来るような環境を整えたいと思っていたし、あれもこれもといった無理をさせるような環境は作りたくないと考えたのです。
ソーラン節にプラスしてもう一つ踊るというのは、最近のトレンドになりつつありますが、本当はそうでもないように思います。
本当はソーラン節を極めるべく、じっくり練習に取り組めるようにすべきだろうし、とことんやる中での気づきや成長を大切にすべきなのだと思います。
もちろん、無限に時間があったり、たくさんの練習時間を確保出来るのであれば、たくさんの事にチャレンジさせるべきなのだと思います。
でも、時間も限られているし、今年に限っては猛暑日が多くあったという事もあり、条件はさほど良くない状況だったのです。
そういった状況の中では、大切にすべき事を厳選すべきだろうし、必要なコトは何なのかという事ともう一度じっくり向き合うべきなのだと思います。
今日で全ての練習が終わりましたが、ソーラン節のみに集中して取り組んできた子どもたちの表情は晴れ晴れとしていたように感じました。
それは、一つの事にじっくり取り組む事が出来た充実感があるからではないかと思います。
明日の運動会本番でも、きっと堂々と演技を披露してくれる事だろうと思います。
しなければならないコト、取り組むコトを厳選した上でとことん取り組みました。
その結果、きっと満足の出来るモノが仕上がる事だろうと思います。
取り組むコトを厳選する...大切な事だと思います。