整理収納アドバイザー ポレポレ日記

40代 おじさん整理収納アドバイザー

スイッチが入った瞬間

この時期、小学校ではあるお便りが子どもたちに配布されます。

恐らく日本全国で配布されていると思います。「わんぱく相撲」のお便りです。

僕が子どもの時は夏休みに行われていた「わんぱく相撲全国大会」。

今は少し時期も違うようですが、第1回大会から30年以上経った今でも、地区大会で好成績を収めた小学生を集めて行っているようです。

おこなわれる場所は東京の両国国技館。野球で言う甲子園球場ラグビーで言う花園ラグビー場のような、中々立つことのできない場所で行われます。

実は僕は6年生の時に地区大会で優勝をして、両国で行われる全国大会に出場した経歴を持っています。30年近く前の話ですが、今でも昨日のことのように思い出される、良い思い出になっています。

3年生当時何の習い事もしていなかった僕。2歳上の兄が入部することになったということもあり、一緒に入部することになった地域の相撲クラブ。

始めた当初は体も小さく、大会に出場しても1回戦で負けることが続いていました。飛び入りで参加する子にも勝てないくらいのレベルでした。

また、当初の僕は極度の緊張しいで、大会で名前を呼ばれる度に、青い顔をしながら土俵の上に立っていたことを覚えています。

負けることに対して特に何も思っていませんでした。クラブに通う別の小学校の子どもたちと仲良く過ごすことが嬉しくて通っていたくらいのものでした。

しかし、状況は少しずつ変わっていきます。4年生の後半頃から体が大きくなり始めたのです。僕にとっての成長期が始まったのです。

体の色々な所が成長してきて、寝ている時に膝が痛くなり、痛みによりゆっくり睡眠を取ることが出来ない時期もあったくらいでした。

日曜日に行われる稽古でも、少しずつ、歯が立たなかった同世代の子にも勝てるようになってきました。稽古に行くのは好きだったので、毎週休むことなく通っていたこともあり、力もついていたのだと思います。気付いた時にはチームでもエースのような存在になっていました。

そして僕にとって大きな転機になる大会が5年生の5月にありました。

それが「全国大会地区予選」です。この大会で優勝すると、夏休みに両国で行われる全国大会に出場することが出来ます。

当時の僕はまだまだ全国大会に出場することなんて考えていなかったし、高みを目指そうなんていう欲も持ち合わせていませんでした。

ただただ何も考えず、大人に連れて行ってもらう大会に出場する。なんだったら相撲クラブの友だちと日曜日に一緒に過ごせることに重きを置いていたくらいでした。

そんな僕が何故かこの大会ではゾーンに入っていたようで、あれよあれよと勝ち進むことが出来たのです。気付いた時には準決勝までコマを進めていたのです。

「あれ...俺いけんじゃねぇ。」そんな気持ちになっていたのかもしれません。

そして準決勝。名前を呼ばれ土俵の上に立つと、そこには見たこともないくらい大きな大人の男性がまわしを付けて僕の目の前に立っています。

「ん?どういうこと?」

どうやら目の前にいるのは大人の男性ではなく、僕と同じ小学5年生の男の子だったのです。(彼とはその後仲良くなり、良きライバルとして僕のことを支えてくれる大きな存在になります。)

後で聞いたところ、彼は5年生ですでに90kgを超えていたようです。正しくは覚えていませんが、当時の僕は50kgくらいの線の細い体でした。もやしのような僕の写真が何枚か残っているのを見ると、彼と比べるとすごく小さかったのは間違いないことです。

結果はもちろん「惨敗」です。相手になりません。はっきり覚えていませんが一瞬で勝負はついたようです。

お気楽な気持ちで参加していた僕でしたが、この大会で3位の成績を収めることが出来たのです。結果的には全国大会まであと一歩という感じでした。

優勝はしたのはもちろん、準決勝で僕に勝った彼でした。そして彼がその年の5年生代表として夏休みに行われる全国大会の切符を手に入れたのです。

喜ぶ彼を見ていると、今まで感じたことのない感情が僕を襲ってきます。30年近く前の話なのでどんな気持ちだったかまでは明確には覚えていませんが、たくさんの気持ちが僕を襲っていたのは今でも覚えています。

そして、気付いた時には勝手に涙を流していたのを今でも覚えています。それを自分でも驚いていたのを今でも覚えています。

スポーツを通して初めて流した悔し涙。それが悔し涙ということも気づかないくらいたくさんの複雑な気持ちが僕を襲っていました。

今思えば5年生のこの時の経験は僕にとってはすごく大きな経験だったように思います。悔し涙を流すほど必死に取り組んでいたわけではありませんが、それでもあの時の僕は何かのスイッチが入った瞬間だったように思います。

人にはそれぞれそういったスイッチが入る瞬間があるように思います。それに気付くこと、そこで頑張ることがその後の人生を左右するものになるように思います。

とにかく、5年生のバカでかい同級生から与えられた惨敗により、僕のスイッチは初めてONにされたようでした。