転職したことにより、僕の生活は大きく変わりました。
所有するモノも変わったし、何よりも生活スタイルが大きく変わりました。
所有するモノを厳選したから、生活スタイルが変わったのか、
生活スタイルが変わったから、所有するモノが変わったのか、
今となってはよく分からなくなっていますが、とにかく僕の生活は大きく変わりました。
営業をしていた頃の僕は、手帳を手放すことが出来ない生活でした。
今の時代では、アイパッドやスマホなんかを使いスケジュールの管理をしている人も多いようですが、あのまま営業マンを続けていたら、僕もその波に乗っていたのかな、なんて思ったりもします。
とにかく忙しく、スケージュールが常に埋まっている状態で、日によっては分刻みで移動をしないといけない日もあったように覚えています。
「10:45分には次のお客さんの所に向かわないと...」
「3時の打ち合わせに間に合わせるためには、あと5分でここを切り上げよう...」
そんな状態で営業車を走らせていたように思います。
そんな忙しい時に活躍していたのが手帳で、僕の手帳には常にその日にすべき事や、客先との打ち合わせ内容が書かれている状態でした。
暇さえあれば手帳を開いて、その日のスケジュールの確認や、打ち合わせ内容の確認、会社に戻ってからすべき事の確認などを行っていました。
通勤中、食事中、客先で相手を待っている時間、営業車での移動中、信号待ちの時間、常に手帳を開いている状態でした。
煙草を吸う人が、とりあえず時間が出来たら煙草に火をつけてしまう事や、時間があれば、とりあえずスマホの画面を見てしまう事と同じように、当時の僕は暇さえあれば、手帳を開いて確認を行っていたのです。
その時の僕は視野が狭かったように思います。
仕事の事で頭がいっぱいで、他の事なんか目もくれないような状態でした。
今となってはそんな自分を懐かしく思う気持ちもあるし、そんな自分を乗り越えてきたから今の自分があると思えています。
何かに追われ、常に得体の知れない不安を抱えている時代を経験したから、今の自分があるのだと思えているのです。
決して無駄な時間だったとは思っていないし、今心地良く過ごす事が出来ているのは、その時の気づきがあったからだと思っています。
手帳を手放すことが出来ない当時の僕でしたが、その手帳を使いながら、何とか自分のペースで働けるようにしたいという思いがあったのだと思います。
少しでも働きやすくするために、手帳を使い、もがきながら少しでも自分の時間が取れるようにしたいと考えていたのです。
今思えば、必死だったのだと思います。
自分なりにスケジュールの管理がしやすいように、アレンジしながら手帳を使っていました。
市販のモノを使うでだけでなく、その手帳に合う用紙を買ってきて、自分が使いやすくなるようなページを作ったり、新たなポケットを増やしたり、様々な工夫をしながら使っていました。
当時の僕なりに、働く事と向き合っていたのだと思います。
なるべく無駄がないように、なるべく失敗しないように、そんな事を考え、工夫しながら手帳を使っていたのです。
とにかく必死にもがき苦しんでいた時期だったように思います。
でも、今の僕には手帳は不要なモノになっています。
当時使っていた手帳は、どこかのタイミングで処分したように思います。
多分...。
手帳を処分したことにより、手帳自体は僕の手元にはありません。
しかし、あの時必死にスケジュール管理をしようとしたり、打ち合わせ内容を忘れないようにしようと努力していた事は僕の心のどこかに残っているように思います。
人に迷惑を掛けないために、少しでも効率よく働こうともがいていた事は、僕の心のどこかに残っているように思います。
それが僕の力となって、今の僕を支えてくれているように思います。
手帳というモノは処分しました。多分...。
しかし、仕事を効率よくこなしていく事や、優先順位を付ける事に関しては、僕の中からは処分されないまま残っているのだと思います。
必死にもがきながら頑張ったことは、たとえモノを処分したとしても、自分の中に残るのだと思います。
今の僕が定時で仕事を終えて、自分の心地良いと思える時間を取れるのは、きっとこの時の経験があるからだと思います。
手帳は処分してしまったけれど、その働き方に関しては僕の力となって残っているのだと思います。
今の僕の生活スタイルには手帳は必要ありません。
もしかしたら、これから先必要になるのかもしれませんが、その時に必要になるのであれば、また所有すればいいと思っています。
その時の生活に合ったモノを所有する事が大切なのだと思います。
その時の自分とじっくり向き合うことで、その時に必要なモノが明確に見えて来るように思います。
あの時の手帳は、あの時の僕には必要だったのだと思います。
でも、今の僕には必要ありません。
そんな風に、モノと向き合い続けたいと思っています。